【音楽】バロック音楽とは何か?

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ビートルズが、自分たちの音楽の原点とした音楽・・・・・
クラシックでもポップスでも、現代西洋音楽の原点はバロック音楽にあります。


バロック音楽が、今なお幅広くその愛好者に親しまれる最も大きな理由は、一切の先入観や観念を必要としない、いわばもっとも現代的な音楽だからでしょう。虚心に音の美しさに浸りきらせる純粋さと楽しさは、バロック以降の音楽にはない親しみやすさ、その特徴といえるかもしれません。その純粋さと楽しさゆえには聴く人の心に応じた多用の親しみ方があります。

たとえばアメリカ・モダン期のジャズ研究者は、みずからが表現しようとするジャズの意味をバロック音楽に求めた例は少なくありません。

そのバロック音楽をさぐってみます。

●バロック

17世紀初頭~18世紀中葉、全ヨーロッパを風靡した芸術・文学の様式を「バロック」といいます。バロックの前はルネサンス(14世紀~16世紀)です。
「バロック」は、ポルトガル語のバロッコ(ゆがんだ、不揃いな真珠)から来ているといわれています。バロックの曲線を多く用いた建築様式を皮肉って使った表現です。ルネサンスの均整のとれた芸術と違い、バロックは流動的でダイナミックな芸術でした。

ルネサンス芸術の特徴は、遠近法や安定した構図等、大変規律正しい均整のとれたものでした。その立場からルネサンス後の美術や建築をみると、やたらと装飾が多く、形も歪に(いびつに:曲線が多く)なりました。表面を鮮やかな装飾で飾り立てて全体の構造を軽やかにする、つまり、規律よりも、20世紀にアメリカで登場したジャズのように気まぐれな思いつきをとても大切にしています。
そのために、それらは退廃堕落したものに映り、蔑視する意味で「バロック」と呼んだそうです。

しかし、19世紀になってドイツ系美術史家たちが16世紀末から18世紀初頭のかけての装飾的で表情豊かな絵画や建築を、肯定的な意味合いで「バロック」と呼ぶようになりました。それからは、軽蔑的な意味合いはかなり抑えられています。彼らは、ルネサンスにおける完成された様式美の芸術を丸い真珠に例えて、そのような円が中心をふたつ持った楕円、つまり二極性のある芸術として「バロック」を定義しています。


●バロック音楽

音楽史において最初に「バロック音楽」という用語の使用したのは、ドイツの音楽学者クルト・ザックス(1888-1959)でした。ザックスは1919年にバロックの概念を美術史から借用した論文を発表し、その中でこの時代の音楽も絵画や彫刻などと同じように、速度(強弱)や音色などに対比があり、劇的な感情の表出を特徴とした音楽だと定義づけました。

現在では劇的であるか否かを別にして、17世紀から18世紀前半にかけての時代に作られた音楽全体を「バロック音楽」と呼ぶことが一般的になってきているようです。

西洋音楽史では1600年から1750年のJ.S.バッハ(ヨハン・ゼバスティアン・バッハ)の没年までの音楽を、「バロック音楽」と呼んでいます。西洋音楽から聴こえてくる今日の音楽は、この時代に凝固されたハーモニーとメロディの原則を基盤にしているといえるでしょう。

ところで、バロック音楽の時代区分について、1600年から1750年までだという定義を書きましたが、これは厳密なものではなくてだいたいの目安にすぎません。学者によってはバロック音楽の始まりを1580年、さらには16世紀中頃までさかのぼらせる見方もあります。

ルネサンス期にポリフォニーという音楽の技法が発達しました。
ポリフォニーとは2本以上の旋律を同時に重ねる多声音楽のひとつの形式です。音楽史上では9~10世紀ごろから表れはじめ、特にルネサンス時代の15世紀中頃から16世紀にかけては、このポリフォニー音楽の最盛期でした。

ルネサンス期に発達したポリフォニーの技法を意図的に排除し、新しい方向へ進もうとした音楽的な最初の試みにオペラの創設があります。バロック音楽は、このオペラとともに発達してきました。現存する最古のオペラが上演されたのは1600年であり、その年をバロック音楽の始まりとすることに不都合はないように思えます。

音楽史上のバロック期の最後は、バッハの没年である1750年とされています。バッハの晩年、イタリアのオペラ作曲家であるジョヴァンニ・バティスタ・ペルゴレージ(1710-1736)によって、それまでのオペラの作風が大きく転換し、音楽は次代の音楽的傾向を見せ始めていました。このことを考え合わせると、バロック期の最後にして最大の巨匠であるバッハの死の年である1750年を、バロック音楽の終焉とすることも充分に理由があるように思われます。

●バロック音楽の特徴

1.劇音楽(オペラ)の確立

バロック時代の特筆すべきことは、劇音楽(オペラ)の登場です。オペラは、このバロック期にイタリアのフィレンツェ(英語=フローレンス)で誕生しました。ギリシア時代の演劇をなんとか再現しようという動きから生まれました。

当時はギリシア演劇についてあまり詳しく研究されていなかったため、再現されたものは、ギリシア時代のものとは少々違っていました。音楽研究家ジロラモ・メイ、詩人リヌッチーニ、作曲家ペーリ、カッチーニ等によって、最初のオペラといわれる「エウリディーチェ」が誕生しました。このオペラでは、少数のハープシコード、リュート、ヴィオラ・ダ・ガンバが使われていました。

バロック以前のルネサンスは、古代ギリシア・ローマの文化を再認識する運動でした。当時、古代ギリシア音楽を復興させようと研究するカメラータというグループが、フィレンツェのひとつの伯爵邸(バルディ家、サンタ・クローチェ教会のそばに今もその屋敷跡が残っている)に集まっていました。
どのようにギリシア劇が上演され、朗唱され、歌われたかを研究していた時、オペラを誕生させたのです。

古代ギリシア劇では台詞を朗唱していました。これを再現しようとして、レチタチーヴォ(叙唱。語るように歌うやり方)を編み出したのです。そしてそれに続くアリア(詠唱)と組み合わせ、独唱で歌うモノディ様式(独唱と器楽伴奏)が確立されていきます。それとルネサンスの伝統(マドリガーレなどのような多声音楽)をひいた2人以上で歌う重唱も置かれました。そして調性(長調、短調)の確立が形成されつつあり、かくしてオペラの構成要素はそろっていったのです。

オペラに使われた物語はやはりギリシア神話で、これ自体、ルネサンス運動を示す典型的な現象でした。が、時はすでにルネサンスを終えて次の新時代、バロックを迎えようとしていました。

バロック美術が人間を描くように、音楽も人間の感情を表現するための最高の道具と考えられるようになります。昔のギリシャでは円劇場で歌手と合唱隊による演劇が上演されていたことが、当時わかっていました。それを再現しようとした人たちは、今までの多声の合唱だけでは不十分である事に気付きます。そこで独奏者と楽器による伴奏という形式のモノディーを開発しました。こうして「音楽による芝居」つまりオペラが誕生したのです。

史上第1番目の記録をもつオペラは、イタリアの作曲家ヤコポ・ペーリ(1561-1633)作曲の「ダフネ」といわれています。1597年か1598年にフィレンツェのコルシ邸で私的にわずかな聴衆の前で初演されました。しかし、その楽譜は殆ど散失してしまい、現在まことに残念ながら上演不可能な状態です。現存するバロック初のオペラ作品は、1600年にペーリが作曲した「エウリディーチェ」といわれています。

ついで、1607年にイタリア屈指の作曲家クラウディオ・モンテヴェルディ(1567-1643)のオペラ「オルフェオ」が、フィレンツェで初演され大成功を収めました。作曲家達は、古典的な伝説の中に、演劇の展開と音楽進行を一致させることができるような物語を探し求めました。そして、感情の力で死をも打ち負かすことの出来る音楽の象徴として、ギリシャ神話の「オルフェウス伝説」が取り上げられることになったのです。
この「オルフェウス」は、バロック時代のあらゆるオペラのモデルとなり、以後この伝説は2世紀以上にもわたりオペラの格好の素材にもなっています。

フィレンツェで生れたオペラは、その後、モンテヴェルディがオペラの芸術としての基礎を築きました。やがて、オペラは、ヴェネツィア(英語=ベニス)、ローマ、ナポリなど各都市へ広がっていきました。そして、フランス、イギリス、ドイツへも急速に進出しました。

オペラは、今日の西洋音楽の骨組みともいえます。


2.器楽曲の発達

オーケストラが登場したのもバロック時代であり、リュート、ハープシコート、オルガンという楽器が目立って使用されるに至りました。そしてバッハの一連の作品は、この時代の作曲技術の絶頂にありました。

協奏曲、合奏協奏曲、ソナタ、組曲などがつくられ、器楽曲が発達しました。楽器の改良や優れた楽器が製作され、演奏技術が向上したことが器楽曲発達の大きな要因の1つでした。

・ヴァイオリン
   イタリアのクレモナにストラディバリなどの優れた製作者が現れました。
   多数の名器が生まれ、それによって演奏技術が向上しヴァイオリン音楽が
   さかんになりました。
・オルガン
   ふいごの完成により、今の形にとても近くなりました。
・ハープシコード
   グランドピアノに似た形をしていて、弦をはじいて音を出します。
   ハープシコードというのは英語の名称であり、イタリア語・ドイツ語
   ではチェンバロ、フランス語ではクラヴサンといいます。
・クラヴィコード
   タンジェントといわれる真鍮片で弦を押し上げて音を出します。
   音量は小さく、後に改良されピアノになります。


3.調性(長調、短調)が確立し、近代音楽形式の骨組みができた。

音楽形式は、ルネサンス期までは「教会旋法」に基づいていたわけですが、バロック期になると、普段私たちがよく耳にしている、いわゆる調性音楽がめばえてきます。調性とは音の関係を定める秩序のことで、近代和声の基礎となっています。調性には、かの有名な「長調」と「短調」の2種類があります。和音に対する感覚がこの時期、非常に高まったことがわかります。

長調・短調の音階は、以前は不協和音とみなされていたのですが、このようにバロック期になって、徐々に標準化されていきました。この分野の開拓者であるアルカンジェロ・コレッリ (1653-1713)とアントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)は、大衆が聴き慣れていたツイストや回音(ターン)をより劇的に書き始めました。他の作曲家は多領域の声楽と楽器の長い楽節を実験し、結果としてそれは深い共鳴と数学的正確さを見せ、ヨハン・パッヘルベル(1653~1706)の「カノン」が模範となりました。


4.通奏低音(バッソ・コンティヌヲ、ゲネラルバス)

この時期はまた、「協奏(コンチェルト)様式の時代」、あるいは、「通奏低音(ゲネラルバス)時代」ともよばれています。この時代、旋律と低音の対比というのはとても、重んじられました。和音を示す数字をしるし、鍵盤楽器などで、即興的に和声を補いながら演奏する方法のことを通奏低音といいます。



●バロック音楽の代表的な作曲家

 ヴィヴァルディ(イタリア:1678-1741)
 バッハ(ドイツ:1685-1750)
 ヘンデル(ドイツ:1685-1759)
 テレマン(ドイツ:1681-1767)
 マルチェルロ(イタリア:1684~1750)

 モーツァルト(オーストリア:1756~1791)

一般的な音楽史の本を読むと、
バロック期を代表する作曲家には、
ヴィヴァルディ、バッハ、ヘンデルといった人が挙げられており、
バロック後の古典派の音楽を代表する作曲家には、
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンという人が挙げられています。
しかし、モーツァルトは、音楽史上、バロック音楽期の作曲家に分類されることもあり、
古典派音楽に分類されることもあります。


●バロック音楽の魅力

現在、バロック音楽は一時のブームはさておいても、遠い昔の異国の音楽ではなくなりました。もし現代を生きる人びとが生活に疲れ、音楽に憩いと救いをもとめるならば、バロック音楽の純粋な音の流れに心打つものでしょう。そしてこのような意味から、音楽のもっとも本来的な位置がバロック音楽にあるという言い方があってもいいかもしれません。

巷にあふれるジャパン・ポップスに聴き飽きたら、音楽の原点であるバロック音楽にさかのぼってみては如何でしょうか。新たな安らぎに出会えます。

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この記事へのコメント

Rainy
2004年10月18日 23:44
合唱団でヘンデルの「メサイア(モーツァルト編曲)」を練習中の者です。バロック音楽についてくわしく書かれていて勉強になりました。
SVI
2005年07月25日 04:29
とても分かりやすい説明でためになりました。
只の男
2005年08月07日 22:35
バロックミュージックという題名のCDを買って来た後、バロック音楽とは何ぞや?という疑問が頭からはなれませんでした。すごく興味深く面白い解説ですね。
raicyo--
2005年09月01日 05:55
学校でバロック時代の音楽を調べるという宿題が出たので、このページを参考にさせてもらいました。とても分かり易かったです。ありがとうございました。
ダブワン
2018年03月02日 18:18
バロック音楽素晴らしいですね。
今日は2時間も聞き酔いました。
解説も素晴らしかったです。

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