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zoom RSS 織女惜別〜直江兼続

<<   作成日時 : 2009/02/10 15:01   >>

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小説「天地人」の主人公、直江兼続の漢詩「織女惜別」を紹介します。

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織女惜別 (しょくじょせきべつ)

  二星何恨隔年逢  二星(にせい)何(なん)ぞ恨(うら)まん隔年(かくねん)に逢(あ)うを

  今夜連床散鬱胸  今夜(こんや)連床(れんしょう)欝胸(うっきょう)を散(さん)ず

  私語未終先洒涙  私語(しご)未(いま)だ終(お)わらずして先(ま)ず涙(なみだ)を洒(そそ)ぐ

  合歓枕下五更鐘  合歓(ごうかん)枕下(ちんか)五更(ごこう)の鐘(かね)

                          −− 直江兼続 (なおえかねつぐ) --

注釈
  二星(にせい)-----牽牛(けんぎゅう)星、織女(しょくじょ)星 の二つ星
               朗詠詩集の 「和漢朗詠集」では、二星(じせい)と朗詠している
  隔年(かくねん)---年を隔(へだ)てて
  連床(れんしょう)--床(そう)を連(つら)ねて
  欝胸(うっきょう)---憂(うれ)いに満ちた心
  私語(しご)-------愛の囁(ささや)き <私語の部分が情話(じょうわ)と書かれている文献もある>
  洒(そそ)ぐ-------「そそぐ」には「注」「沃」「灑」「瀉」など、いくつかの用字がある。
              「洒」の字を用いたのは、漢詩の発音上のルールである平仄(ひょうそく)など
              にもよるのであろうが、この場合、もっとも相応しい用字であろう。
              水をかけて洗い清める意がある。
  合歓(ごうかん)---夫婦または男女が睦(むつ)み合うこと
  枕下(ちんか)-----枕(まくら)の下。枕元(まくらもと)
  五更(ごこう)-----一夜を、初更:しょこう(甲夜(こうや))・二更:にこう(乙夜(いつや))・三更:さんこう(丙夜
              (へいや))・四更:しこう(丁夜(ていや))・五更:ごこう(戊夜(ぼや))に五等分した称。
               五更は、およそ現在の午前3時から午前5時、または午前4時から午前6時ころにあたる。
              寅(とら)の刻。

訳文
織女(しょくじょ) 別れを惜(お)しむ

   二星(にせい)何(なん)ぞ恨(うら)まん年(とし)を隔(へだ)てて逢(あ)うを
   今夜(こんや)床(そう)を連(つら)ねて欝胸(うっきょう)を散(さん)ず
   私語(しご)未(いま)だ終(お)わらずに先(ま)ず涙(なみだ)を洒(そそ)ぎ
   合歓(ごうかん)の枕下(ちんか)に五更(ごこう)の鐘(かね)

意味
  牽牛と織女の星が、一年に一度しか逢えない悲しみを、どうして恨むことがあろうか。
  今夜二人がこうして久しぶりに会って、同じ床に枕を寄せ合いながら
  長い間の胸の中の恨みつらみを全部吐き出して悲しみを発散する。 
  寝物語りがまだ終わらないのに涙が溢れ出て、
  お互いの愛の歓びがまだ続いているというのに
  枕元にはもう夜明けの鐘の音が響いてくる。

年のうちに何度と逢うことも叶わない二人を、七夕(たなばた)の逢瀬に例えて
恋慕(れんぼ)の情を詠みあげた詩である。
「私語未終」とか「合歓」など、艶な雰囲気の言葉が使われ、とても艶っぽい感じの詩である。

年に一度しか逢えない七夕の星であるが、逆を言えば、年に一度は逢瀬を約束されているのである。
そういう星を引き合いに出して詠っているということは、
この詩に描かれた男女は、一度逢ったら次に逢えるのはいつなのか不確定な恋人同士なのではなく、
逢うことは当然のこととして約束されているが、なかなか逢うことが叶わない二人、と解することができる。
つまり、相手の女性は妻であるお船(せん)を想定しているのではないかと思われる。
ようやく二人だけになることができた夜、語りたいことはたくさんあるはずなのに、
女の目からは真っ先に涙がこぼれ落ちる。 
女人の流す涙によって、濁世の鬱屈(「鬱胸」)が浄化されていくことを暗示しているようでもある。 
武一点張りでない、兼続の優なる心、可憐な心の襞に触れるような作品である。

直江兼続は上杉家の家老として景勝に仕え、謙信の衣鉢を受け継ぎ、
上杉家存続のため一身をとして戦国の動乱を乗り切った智謀の将であった。

力がすべてを支配する戦国時代、織田信長は自己の権力を絶対化し、
恐怖を持って人を屈服させようとして失敗した。
これに対し上杉謙信は”義”をもって人心を一つに纏め上げた。
その衣鉢を受けた兼続は、その「義」に加え「愛」をもって仁政を布こうと
した。愛こそが最も強い力を発揮すると兼続は信じた。
だから彼は兜の前立(まえだて)に愛の一文字をつけて戦場に臨んだ。
 
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愛の前立


兼続は文武両道に秀で、蔵書家でも有名だった。その蔵書は850冊に及び、
そのなかには現在世界で唯一といわれる宋版の「史記」「漢書」「後漢書」
など国宝級の貴重な本も多いという。

また兼続は和漢の詩歌にも造詣が深く、自ら漢詩も作っていた。
直江兼続は決して武骨、無粋な武士ではなかった。 
「愛の前立て」にふさわしい情熱家だったのだ。


そもそも直江兼続は主君上杉景勝の命によって直江家の婿養子となり、
未亡人のお船の方と結婚した。兼続21歳の初婚、お船は24歳だった。
二人の夫婦仲は良く、兼続は生涯側室を持たなかったといわれている。

加賀藩主前田利家の義理の甥の前田慶次郎は、
兼続の学芸によせる情熱と詩的天分に惚れ込んだそうである。
「直江どのの漢詩や連歌は典雅ななかに艶(つや)がある」と絶賛している。
前田慶次郎は、直江兼続に惹かれて上杉家に仕官し、米沢の地に骨を埋めた武人である。


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江戸装束の七夕図(秋栄 「織女と牽牛」)

たな‐ばた【七‐夕/棚機/織=女】
五節句の一。7月7日の行事。この夜、天の川の両側にある牽牛(けんぎゅう)星・織女星が、年に一度会うといい、この星に女性が技芸の上達を祈ればかなえられるといって、奈良時代から貴族社会では星祭りをした。これは中国伝来の乞巧奠(きっこうでん)であるが、一方日本固有の習俗では、七日盆(盆初め)に当たり、水浴などの禊(みそぎ)をし、この両者が合体した行事になっている。たなばたまつり。

  大辞泉


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